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ネットワークの計測と管理技術

計測と管理技術への取り組み

IIJでは、安定したネットワークサービスを提供し、状況の変化にも素早く対応できるよう、継続的なトラフィックの観測や計測データの解析を行っています。また、複雑化するネットワークやサービスに対応するため、これらの管理を自動化する技術の研究開発に取り組んでいます。

統計手法によるトラフィック解析

自律分散したネットワークが相互に接続するインターネットでは、さまざまなメカニズムが相互に影響しあって驚くほど複雑な挙動を示します。さまざま変動要因の中から、目的に沿ってトラフィックに関する特定の情報を抽出したり、ノイズ要因を除去したりすることは重要な技術課題となっています。本研究では、統計手法を多面的に用いたトラフィック解析を行い、長期トレンドを把握したり、攻撃や設定ミスによる異常トラフィックを効率よく検出する手法の提案を行っています。

P. Borgnat, G. Dewaele, K. Fukuda, P. Abry, K. Cho. Seven Years and One Day: Sketching the Evolution of Internet Traffic. INFOCOM2009. Rio de Janeiro, Brazil. April 2009. G. Dewaele, K. Fukuda, P. Bognat, P. Abry, K. Cho. Extracting Hidden Anomalies using Sketch and Non Gaussian Multiresolution Statistical Detection Procedures. SIGCOMM2007 LSAD Workshop. Kyoto, Japan. August 2007.

トラフィック増加計測

IIJでは、2004年から他のISPの協力も得て、国内インターネットのトラフィック量を調査し、基礎データとして開示しています。トラフィック量の伸び率は、技術やインフラへの投資やIT政策を考える上で重要なファクターです。実際に、国内のトラフィック増加率は、ここ5年ぐらいは年率40%程度の増加で安定しています。この要因として、ブロードバンド普及が一巡した事や、P2Pファイル交換トラフィックの伸びが鈍っている事が挙げられます。その一方で、事業者の動画配信サービスやリッチコンテンツの増加で、一般ユーザのトラフィック量は着実に増えてきています。しかし、将来のトラフィック需要の予測は難しく、地道な計測活動の継続が必要とされています。

K. Cho, K. Fukuda, H. Esaki, A. Kato. Observing Slow Crustal Movement in Residential User Traffic. ACM CoNEXT2008. Madrid, Spain, Dec. 2008. K. Cho, K. Fukuda, H. Esaki, A. Kato. The impact and implications of the growth in residential user-to-user traffic. ACM SIGCOMM2006. Pisa, Italy, Aug. 2006.

接続性およびトポロジー計測

インターネット全体の接続性を調べたり、トポロジーを把握することは容易ではありません。既存手法には、大きく分けて、経路情報などのコントロールプレーンからのアプローチと、tracerouteなどのデータプレーンからのアプローチがありますが、共に欠点や制約があります。本研究では、既存手法の精度を調査し、問題の原因を具体的に明らかにします。また、最寄りの参照ノードを同時に計測し、結果を比較することで、測定精度を向上するdual probingと呼ぶ手法を提案しています。

R. Bush, O. Maennel, M. Roughan, S. Uhlig. Internet Optometry: Assessing the Broken Glasses in Internet Reachability. Internet Measurement Conference, Chicago, IL. November 2009.

トラフィック迂回のための経路制御手法

を迂回させる場合に、新しい経路が収束するまでの間に、一時的に経路が失われたり、あるいは、ルータ間で経路情報の不整合が発生し、パケット損失が発生する可能性があります。しかし、iBGPルータを注意深く構成することで、迂回時のリスクを大幅に軽減することが可能です。本研究では、トラフィック迂回時の問題を解析し、改善のための運用手法を提案しています。

P. Francois, B. Decraene, C. Pelsser, C. Filsfils. Graceful BGP session shutdown. draft-francois-bgp-gshut-01. Internet Draft, March 2009. B. Decraene, P. Francois, C. Pelsser, Z. Ahmad, A.J.E. Armengol. Requirements for the graceful shutdown of BGP sessions. draft-decraene-bgp-graceful-shutdown-requirements-01. Internet Draft. March 2009.

ネットワーク管理の自動化

社会インフラとなったネットワークシステムは、ユーザとしては便利な半面、管理者の負担は増すばかりです。ネットワーク機器には、ネットワークへのアクセス制御や帯域制御、VLANの動的設定等、高度な機能が次々と実装されています。また、システムが巨大化し、管理しなければならない機器が飛躍的に増えており、新しいシステム管理パラダイムが必要とされています。技術研究所では、次世代Web技術とネットワーク機器設定プロトコルNETCONFを組み合わせることで、巨大なシステムの中から、各管理者に必要な情報を選択して提供し、システム変更などに伴う機器設定を自動的に行うための研究開発を行っています。自動化によりシステムの信頼性が向上し、さらに大規模なシステムの運用が可能になります。

S.M. Bellovin, R. Bush. Configuration Management and Security. IEEE Journal on Selected Areas in Communications, Vol.27(3). April 2009. page 268-274.

新 麗, 二宮 恵, 加藤 雅彦, "マルチドメイン環境におけるネットワークシステム管理制御機構の設計", 電子情報通信学会技術報告[インターネットアーキテクチャ], pp.71--76, IA2008-60, 2009年1月.

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